姿無きモノ達の、忘却的表層無意識下に於ける哀しきブルースを聞け。

2009/09/07

【モノを大事にしなさい】

と言葉で諭すより、より多く理解しやすい映画だと思ったので、我が家に生息する2人の少女のために、映画【ホッタラケの島】を観た。

 

人間がほったらかしにしてしまったモノを拾い集め、不思議な世界を築いた住人達と、どこかにしまい忘れて、ホッタラケの住人達に奪われてしまった母親の形見(手鏡)を、彼らの島に取り返しにいく少女の物語だ。

 

 

いつの間にか、身の回りから消えていくモノ。

 

どこかにしまい忘れたり、或いはどこかに落としたまま記憶から遠ざかっていくモノ。

 

 

モノを失うということは、それらがいつか確かに存在していた過去の物語さえも失うということに他ならない。

 

 

しかし、それらは決して僕らを忘れない。

いつか確かに共存していた過去の物語が、未来のどこかでまた再び続くことを信じて迎えを待っているのだ。 

 

 

観賞を終えた後、子供たちの(今時な)冷めた感想を華麗に受け流しながら、僕はふと考えた。

 

 

 

「今頃、彼(ギルビー・ストレンジャー)はどうしているだろうか?」などと。

 

 

 

 

★★★★★★★★★★  

 

 

 

 

店先に繋いでいたはずの彼(ギルビー・ストレンジャー)が何者かによって連れ去られてから、すでに半年近くが経過していた。

 

 

しかし、どんなに大切なものであれ、消費するのが生まれながらの性である僕らにとって、何かを失うという日常的なインパクトが、やがて些細な事件として忘れ去られていくのに、それほど長い時間は必要ない。

 

何かを失っても、見渡せば代用はいくらでも存在する。

 

つまり、大人になるということは【不確実な執着性や非合理的な支配欲を、可能な限り減らしていく】という寂しい作業が、日常的に繰り返されるという事なのだ。

 

 

だから例外なく僕も、すぐに代用を探した。

 

 

それどころか

 

【どうせならタイプの異なるものが良い。】【表情も、感触も、彼(ギルビー・ストレンジャー)とは異なるものにしよう。】

 

 

そんなふうにして、やがて彼(ギルビー・ストレンジャー)を失った事象ですら、やがて楽しんでしまっていたのだ。

 

 

それから数週間して、新しい彼(サンタ・マリアッチ)を迎え、ギルビー・ストレンジャーとの違いをひとつひとつ確認しながら、新たなルールを決め、新たな性格を受け入れ、僕との充分なリンクを要求した。

 

互いに馴染みを深めるまで、それぞれに努力を要したが、それなりに上手く共存しながら時を重ね、あと数カ月もすればギルビー・ストレンジャーの事など、脳内記憶フォルダからすっかりと抜け落ちるところだっただろう。

 

 

 

しかし、彼(ギルビー・ストレンジャー)は、いつも僕を待っていた。

冷たい雨や、乱暴な太陽に晒されながら、ずっと僕を待っていた。

 

 

きっと精一杯のシグナルを発信していたに違いない。

 

 

 

だからこそ、いつもと違うルートでたまたま【まんず】の散歩をしていたトッティのシックスセンスに上手くレセプトしたのだろう。

 

 

 

 

 

★★★★★★★★★★

 

 

 

 

とても懐かしい手触りだった。

 

 

 

「久しぶりだね」 まるでそんなことを呟くように2つの車輪が小さく軋む。

 

 

錆びついた身体を優しく撫でると、僕と離れていた時間の分だけ、様々な汚濁が指先に積もった。

そこから伝わる感触は、今もなお自己の有機性を必死で僕に知らせようとしている。

 

 

 

トッティは、彼の惨めに放置された姿を見つけるなり驚嘆の声をあげ 【まんず】に繋がれたリードを握ったまま、動かなくなった彼を担いで店まで戻ってきたそうだ。

 

 

 

ほんと御苦労サマでした。

 

 

 

その知らせを受けた時、僕はジャグブランキンのお客様達と陽気にフットサルな夜を過ごしていたが、

【見つけた!】という件名で受信したメールにギルビー・ストレンジャーの写真が添付されているのを目にした途端、びっくりしすぎて、右足がこむら返りをおこしたほどでした。

 

 

 

さて。

 

 

 

ようやく(簡単な)修理を終え、錆ついて動かなくなってしまっていたギルビー・ストレンジャーも、以前の美しい姿に戻った。

 

 

 

ほったらけにするわけにもいかないので、お礼も兼ねてサンタ・マリアッチは、トッティへ託すことにしました。

 

 

 

 

【ホッタラケの島】を観賞してギルビー・ストレンジャーを思い出した事が、再会のきっかけになったなどと、いい歳して脳内メルヘンな話をするつもりではないのです。

 

 

ただ、あまりにも可愛らしいお話だったから、ちょっと信じてみようと思ったのも事実。

 

 

 

 

それと、自転車の盗難は、ダメ!ゼッタイ!!

 

 

 

 

 

ともあれ、みなさんよく耳を澄ましてみましょう。 ほったらけにされたモノ達の悲しい叫び声が聞こえるはず。

 

 

 

(聞こえた人は、早めに病院に行きましょう。)

 

 

では!Be Strut!!!

 

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